Deco Return Memory
高橋由菜は女子校に通う高校1年生で、ごく普通の女の子。
現在は父の赴任先に母も付いて行ってしまっている為、ほぼ1人暮らし状態。
別にそれが寂しいとも思っては居なかったけれど、その日もある夢を見て、飛び起きてしまう。
その夢とは7年前の学校帰り、突然の雷雨に非難した公園の遊具の中で、当時誰もが好きだった寺尾瑞樹のおよめさんになった時の事だった。
何で今更そんな夢を見てしまうのか。
あの後、瑞樹は何も言わぬまま転校してしまい、由菜に何の連絡もくれなかった。
今思えば自分は本気のつもりだったけれど、瑞樹にとっては行為もおままごとの延長みたいなもので、深い意味を持つものではなかったのだろう。
夢自体を見出したのも、ひとりきりが寂しくて、あの時の置いていかれてしまった寂しさとか不安がリンクして見させているのではないか?
そう半ば強引に、未だ引き摺る瑞樹への思いを否定して早々と学校に向かった。

学校へ行き席についていると、親友の雪が登校して来た。由菜の横の席の雪は、席に着こうとしつつ、今日クラスに転校生が来るという情報をもたらした。
その転校生はどうやら帰国子女らしく、2人が噂をしていると、当の本人が話を割って来る。
驚く2人を尻目に、突然由菜に、自分を覚えているかと聞いて来る。

転校生の姿は金に近いくらいに染めた茶色の髪に、真っ赤なピアスに、薄く入れたアイシャドー。寧ろ軽薄な印象を与える女子高生らしい風貌に、こんな姿になる筈が無いと否定しつつも重なる子供の頃の瑞樹と、目の前の転校生の姿に、由菜は溢れる涙を止める事が出来なかった。
「ずっと良い思い出にしようって頑張っていたのに…」そうつぶやく由菜を抱きしめ、謝りつつ、瑞樹は優しいキスを由菜に何度も与えた。

…ところが、気が付けばクラスメイトどころか担任までもが集団デバガメ状態。
由菜と瑞樹は期せずして、クラスの公認となってしまった。
それはとても恥ずかしい事だったけれど、まだ続いていた2人のこれからに、つい微笑がこぼれてしまう由菜だった。
2006.2.19発行
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